○文献研究のまとめ
<ジュニアスプリンターの形態の発育および骨年齢と記録の推移>
・被験者(1990~1993の全国小学生陸上競技交流大会において6年生次に100mで入賞した男子8名)は思春期の発育スパートが早い子供たちであった。また、被験者のような早熟の集団の中でも比較的成熟が進んでいないもの方がその後の疾走速度の増加量が大きい。(加藤ら:1999)
<スプリントの素質>
・スプリント能力は先天的要因が非常に強い(生田ら:1980、宮丸:2002)
<身体の発育発達と疾走速度、歩幅、歩数(ピッチ)の関係>
・児童期後期以降(11歳)では男子は一定した発達速度が見られ、歩幅の増大は児童期後期からみられる(伊藤:1988)
・中学生を1年から3年にかけて男子は疾走時間が経年的に短縮し、それに伴って疾走速度、歩幅、歩幅/身長が経年的に増大したが、女子は変化がほとんどなかった。ローレル指数は男子は減少するのに対し、女子は大きく増加した。(加藤ら:1984)
・疾走能力の発達のピークは男子では17歳、女子では14歳である。また、発達段階は4段階にわかれる。(宮丸:2002)
・疾走速度の加齢にともなう発達は①形態的な発達と②機能的な発達の量要素のものである。(斉藤ら:1995)
・最も早く走ることのできる時間はスタート後約15秒間ほどで変化しなかった。(小木曽ら:1997)
<OTS>
・成長のスパートの時期にハードな練習をさせてしまうと身体的な障害のみならず中枢神経系の過労を引き起こすことに繋がり、身体の成長にも大きな負担を与えることになる。(三池:1996)
・練習のしすぎによるOTSはハードな練習に時期を合わせて認められるもとのは限らず、しばらくの空白の時期を経て出現する。(三池:1996)
○今後の課題等
・アスリートと一般では結果に違いが出てしまうため、同じ群で考えることは難しい。
・遺伝や環境、成長、トレーニングと、様々な要因がある。
・短距離選手にはOTSの自覚があったのか。
・家族とのかかわり方は関係するのか
○参考・引用文献
・(加藤謙一・宮丸凱史・松本剛・秋間広:1999)ジュニアスプリンターの疾走能力の発達に関する縦断的研究
・(生田香明・雨宮輝也:1980)発育・発達からみたスプリントの素質
・(伊藤宏:1988)児童期の短距離疾走能力の発育・発達特性について
・(加藤謙一・関岡康雄・川本和久:1984)中学生の疾走能力の発達に関する縦断的研究
・(宮丸凱史:2002)疾走能力の発達:走り始めから成人まで
・(斉藤昌久・伊藤章:1995)2歳児から世界一流短距離選手までの疾走能力の変化
・(小木曽一之・串間敦郎・安井年文・青山清英:1997)全力疾走時にみられる疾走スピードの変化特性
・(三池輝久:1996)小児発達学からみた運動と脳と心
・(宮丸凱史:1999)児童期後半の運動発達からみた小学生の全国大会の問題点
・(伊藤宏:1989)中学校3年生の短距離疾走の分析